Re:Ron連載「みたらし加奈の 味方でありたい」第2回
【最近のニュースを見ていると気持ちがつらくなってしまうことが多いです。ジェンダーやLGBTQに関しての報道もそうですが、特に芸能人が自殺で亡くなったニュースは色んなことを連想してしまったり、つらくなるのは分かっていても情報を深追いしてしまったりします。今まで人から言われた「死にたい」という言葉の記憶や、自分自身の「苦しい」という気持ちが、どうしても浮かんできてしまうんです。
たとえ自分に関係ないことにも感情移入してしまうのは、悪い癖なんでしょうか? 加奈さんのお考えを聞きたいです。】(舞子)
舞子さんからいただいたものもふくめ、このところ、私の元には「ニュースを見ていると苦しい気持ちになる」というメッセージが山のように届いている。公人によるマイノリティーへの差別発言、“ジェンダー後進国日本”への国際社会からの批判、物騒な傷害事件、ずっとフタをされ続けていた性被害の告発、そして著名人による自死の報道――。
目まいがして息が苦しくなるような見出しを見るたびに、私は繰り返す。
「時には報道から離れましょう、情報を深追いするのはやめましょう」と。
特に自死に関する報道に関しては、センセーショナルに扱おうとするメディアも少なくはない。著名人の自殺報道に影響されることで自殺者が増えることは「ウェルテル効果」と呼ばれ、WHO(世界保健機関)が作成した自殺対策に関するガイドラインに基づき、厚生労働省も警鐘を鳴らしている。心身ともに健康であったとしても、自死に関する報道によって体調を崩す人もいる。そのため、情報そのものから距離をとることを、専門家が周知することは必要なのだ。
しかしながら一方で、「本当に離れるだけでいいのだろうか」とも思うこともある。確かに、安全性の確保のためにつらいニュースから遠ざかることは大切である。しかし、そのアナウンスを伝えるたびに、「ニュースから距離をとる」ということだけではなく、誰かの苦しみにもフタをしてしまうような気持ちになるのだ。
記事後半では、ニュースを目にしてつらい時「あなたが自分だけの『しんどさ』を大切にできる――、その輪が広がっていくことで必ず社会は変わっていく」とみたらしさんがつづります。その真意とは。記事末尾では悩み相談の募集もしています。
この国に住まう多くの人たち…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル