山口県宇部市立藤山中が来春、ブレザータイプの制服を導入する。スラックスとスカートの2種類から選ぶことができ、性差のない「ジェンダーレス制服」。宇部市内では初めての導入で、制服を変えるための議論は生徒たちから始まった。
今年6月の生徒総会であった校則を見直そうという議論の中で、一人の3年生が発言した。「男女の区別をなくしていこうと社会が変わりつつあるのに、学校の決まりはそうではない」。制服を変える提案に多くの生徒が賛成した。
学校側は7月、全校生徒325人にアンケートを実施。制服をジェンダーレス化することに86%の生徒が「良いと思う」と答えた。3%が「良くない」、残り11%は「分からない」だった。
「制服がジェンダーレス化された場合にどうしたいですか」という質問には、スカートをはきたいという男子生徒、ズボンをはきたいと答えた女子生徒がいた。生徒会役員の一人、島地更さん(3年)は「左利きの人がいるように、自分の好きなものを着たいと思う人が当たり前にいるんだなと思った」と振り返る。
学校側は卒業生や地域住民などによる検討委員会で話し合いを進め、10月中旬に正式に決めた。「生徒たちの声を尊重しよう」と反対意見は出なかった。在校生の保護者のほか、来年入学を予定している小学6年生の保護者にも説明した。
藤山中では生徒と教員が話し合い、校則の見直しを進めてきた。ジェンダーレス制服もその一環。白色だけだった靴下は黒色とグレーも可能になり、肌着の色も選択肢が増えた。風紀や秩序を乱さないため守られてきた校則が変わっても「雰囲気が悪くなることはなかった」と、生徒会長の堤悠佑大さん(3年)。「古い形式に縛られていることが多い。自分たちにあった形で見直していけたらいい」
森田成寿校長(57)は「子どもたちが考え勉強して、意見を言う姿に心を動かされた。教員もスピード感を持って変化を起こしていくことが大事だった」と話している。(太田原奈都乃)
山口県教育委員会によると…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル