27日の記者会見で「女性だけでなく男性の不妊治療も含めて、適応症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討すると基本的考え方に立って検討を進める」と話した加藤勝信官房長官。 【映像】知られていない「男性不妊」 治療の実態 「不妊治療の保険適用拡大」は、菅政権の目玉政策でもある。これまで女性の悩みとして取り上げられることが多かった不妊治療の問題だが、厚労省が発表した昨年の調査を見ると、不妊症で通院している女性が約11万8000人に対し、男性は約8000人。およそ15分の1に留まっている。
しかし、2017年の世界保健機構(WHO)の調査によると、不妊症のうち男性のみに原因があるケースが24%、男女両方に原因がある場合が24%で、およそ半数は男性にも原因があるとされている。 ニュース番組「ABEMAヒルズ」では、実際に不妊治療に取り組む男性・オオタさん(43)を取材。オオタさんは、2年前に行った結婚前のブライダルチェックで、精子の数が一般的な数値よりも少ない「高度乏精子症(こうどぼうせいししょう)」と診断された。
「一般的には(精子の数は)1億とか何千万と言われていますが、最初の検査で8匹とか12匹とかそういう感じだった。少ないですね。よく比喩で『雷に打たれた』『頭が真っ白』とかありますが、まさに(ショックで)ああいう状態になった」(以下、オオタさん) およそ半数が「原因不明」とされる、男性不妊。オオタさんもそのうちの1人だった。基本的に現代の医療では治療する術がなく、生活習慣の改善や漢方を飲むなどをするしかないという。 オオタさんは、当時付き合っていた彼女に結婚をやめることまで提案したが、彼女からは「2人で頑張ろう」と励まされ、そのまま結婚。不妊治療を始めた。 「精子検査してくれないっていう旦那さんが結構いるらしいんです。まさか、なんでしょうね。自分(の精子)がまさか少ないと思わないんですよね。検査をすることと、事実を知る、ですよね。数字的事実だと思いますが、48%が男性不妊ですよね。やっぱり勇気をもって検査しないと進まない。入り口にも立ててないご夫婦が結構いるのではないでしょうか」 政府が男性の不妊治療も保険適用に向けて検討を進めるとした件についてはこう語る。 「当然なのでは。逆に当然にしておかないと、いつまでたっても不妊治療は女性のためのものになって、基本的な改善にならない。保険も男女両方じゃないとおかしい。少子化の改善にもならないでしょうね」 ブライダルチェック後のセカンドオピニオンで精索静脈瘤(精索部にできた静脈瘤によって精巣機能が悪くなる症状)が発覚したというオオタさん。手術をしておよそ1年。その後もタバコを辞めたり、漢方を飲んだりして生活習慣の改善に励んでいる。 精索静脈瘤の手術は50万円ほど。定期的な精子検査などもあり、これまでにかかった金額は約100万円だ。精子検査や不妊治療を行う男性の少なさについて、オオタさんは「まずは男性不妊を認知してほしい」と述べる。 「男性が検査をするのって勇気が要ると思う。僕の場合は、たまたま興味で検査をしたのですが、勇気を持って2人で検査をしていかないと。男性の精子ってあるのが当然という教育をされている。いろいろなデータがありますが、事実として男性不妊が増えているのが明確。特殊な事例じゃない。10人男性がいたら1人が不妊でもおかしくない時代。男性不妊が存在しない、特殊な事例だと思っていること自体がダメだと思う。可能性としてあるってことを知ってほしい」 (ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)
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