仁村秀一
埼玉県警川口署の留置場に勾留されていた東京都の40代男性が、留置場の食事が原因で脚気になったなどとして、県に損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、さいたま地裁であった。沖中康人裁判長(鈴木和典裁判長代読)は、食事に健康上必要な量のビタミンB1が含まれていなかったことを発病の原因と認め、県に55万円の支払いを命じた。
男性は2017年11月に詐欺容疑で逮捕され、川口署の留置場に勾留された。18年7月の健康診断で手足のしびれを訴え、8月に病院で脚気と診断された。
一方、県警は19年11月、同署の留置場で20~30代の男性4人が栄養不足による脚気と診断されたと公表。越谷市の弁当業者が3食を納めており、外部機関の定期調査で複数回、ビタミンB1が18~49歳の男性の摂取量の目安を下回っていたことを明らかにしていた。
判決は、食事を管理する県警の担当者について「食事に健康上必要なビタミンB1が含まれていなかったことを認識できたはずなのに、そうした注意義務を怠った」などと指摘。県に慰謝料の支払いを命じた。
県警は判決を受け、「判決内容を検討し、関係部署と協議の上、適切な対応をして参りたいと考えております」とコメントした。(仁村秀一)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル