新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出自粛や休業要請が出る中、Twitter上で「疲」「ストレス」「鬱」といった投稿が増えていることがわかった。
東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻准教授の鳥海不二夫氏の調査によると、中国で新型コロナウイルスの感染が拡大しつつあった1月中旬以降の約2900万件のツイートを解析したところ、「疲」「ストレス」「鬱」を含む投稿が増加していたという。安倍総理が臨時休校を要請した2月27日や、小池都知事が「感染爆発の重大局面」と発表した3月25日以降などで投稿件数が急増している。
鳥海氏は「みんな疲れがもたらす問題についての意識は高い。『ストレス』と一緒に『ストレス発散』なども多く投稿されているため、ストレス増加だけでなくポジティブな面もあるように思える。ただ、長期にわたって外出自粛などが続けばストレスは増加するだろう」と推測している。
このデータについて、臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「鳥海先生が言われているように、疲れもネガティブな意味だけでなく『お疲れさまです』『疲れてないですか?』という使われ方をしていたり、ストレスも『ストレスフリー』などの逆の意味の言葉が含まれていると思う。ただ、文字というのは言語刺激といって、想像や妄想などその人だけのバーチャルな世界を作り出す効果がある。疲れというワードが増えているのを見るだけで、『やっぱりみんなそうだよね』『そういう時期だよね』と自分の中で気づけていなかった気持ちが顕在化されてしまったり、過去に実際疲れたときの感覚が無意識的に再体験されることによって、マイナスの共感が広がっていくことはありえる」との見方を示す。
また、Twitter上ではこうした言葉に限らずネガティブな投稿が増えている印象だとし、「我々が言葉をどう受け取るかというと、やはり生活の中の文脈というものが大事。今は特に精神的にも肉体的にもそれなりに疲労感がある中で、マイナスだったり批判的な言葉、攻撃的な言動を目にすると、より自分の心が負の方向に引っ張られてしまうことがある」と危惧。また、批判ツイートに対する自身の対処法として、「リプライやDMで批判的な言葉が来た時に、その内容は真摯に受け止めたいと思う一方で、自分の心を守るためというか心理学の専門家としての職業柄というか『この人はなぜこんなことを言っているんだろう』ということの方が僕は気になる。その人の他のツイートも見てみると、中にはいろいろな人を批判している人もいて、それを見ると自分にだけ向けられている攻撃性ではないと気づいて、少し落ち着くことができる。言葉そのものだけではなく、ある種冷めた目線でその人の背景を想像してみることもひとつの対処だと思う」と勧めた。
では、そういった言葉を発することは意識して少なくした方がいいのか。藤井氏は「愚痴としてマイナスの気持ちを言葉にして吐き出すことは誰にとっても一定のポジティブな効果がある。なので例えば、人と会った時に『今コロナで大変だよね』と話すぐらいなら問題ないと思うが、毎日悲観的な会話をしていると、話すほうも話されるされるほうも気持ちがどんどん暗くなっていく。その頻度や時間の長さが影響するので、ネガティブなことを言いたくなっても“あえて言わない”ということも自分の心理的健康を維持するために必要だと思う」とした。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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