「百沢温泉をハッピィな場所に」 休業の施設、芸人が買い取り再生へ

 お笑い芸人のあべこうじさん(48)が、施設の老朽化で休止していた青森県弘前市の百沢(ひゃくざわ)温泉を買い取り、再開に向けて準備を進めている。あべさんは自らがMCを務める県内のテレビ番組名にちなみ、「百沢温泉をみんなが集まる『ハッピィ』な場所に再生したい」と意気込みを語る。

 百沢温泉は岩木山のふもと、岩木山神社にほど近い場所にある。鉄分が豊富な白濁した湯が人気で地域の人に親しまれてきたが、1983年に建てられた施設が老朽化し、今年9月から休業していた。

 休業から間もないころ、あべさんは「施設が売りに出される」という話を耳にした。建物の傷みがひどいため休業しているものの、温泉は湧き続けているという。すぐに見に行って気に入り、自費での購入を決めた。

 というのも、あべさんはここ数年、県内で温泉施設の購入を検討していて、あちこちの温泉地を見て回っていたのだ。

 あべさんがMCを務める青森朝日放送(ABA)の土曜朝の情報番組「ハッピィ」は、放送開始から10年を突破。「10年の感謝を何かの形で青森の皆さんに還元できないか」と思っていた。

 県内の温泉巡りが好きなあべさん。ただ最近は休業や、客足が途絶えている温泉施設も目についていて、自分も何か力になれないかと考えていたという。そんな時に巡り合ったのが、百沢温泉だった。あべさんは「貴重な温泉をこのまま廃れさせるのではなく、たくさんの人が集う楽しい場所に生まれ変わらせたい」と購入した理由を話す。

 管理人には県内在住の芸人OGAさん(44)が就き、住み込みで施設の管理を行う。温泉は来年春の再開を目指し、建物の修復などが進む。将来的には宿泊施設やオートキャンプ場などの整備も考えているという。OGAさんは調理師の資格も持っていて、お手製のメニューを出す食事処(どころ)の開業など夢も広がる。

 とはいえ、人手不足は否めない。インテリアの手直しや日々の浴場清掃など、仕事は山積みだ。OGAさんは「自分だけでは心細いです」と本音もちらり。

 あべさんは「例えばお風呂掃除をしてくれたら入浴券をプレゼントするとか。得意な分野を生かして力を貸してくれる仲間をどんどん増やし、一緒に楽しく作り上げていきたい。百沢温泉再生物語の開幕です」と話し、協力を募っている。

 挑戦の様子は「ハッピィ」の番組内で随時、紹介していく予定だ。(伊藤唯行)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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