土舘聡一
太平洋戦争末期の激戦地で、戦後23年間は米統治下にあった硫黄島(東京都小笠原村)の元島民らの団体が4日、記者会見し、慰霊の墓参や訪島事業の拡充を訴えた。5日、同島を含む小笠原諸島は返還協定の締結から55年を迎える。
硫黄島は、1944年に戦況悪化で島民が本土に強制疎開させられ、翌年には日米両軍が激戦を繰り広げた。68年4月5日の返還協定締結を経て、同6月26日に日本に復帰。しかし、活発な火山活動を理由に国は定住困難とし、今は自衛隊の基地が置かれている。
従来、元島民や子孫は都の墓参事業や小笠原村による訪島事業で島を訪れてきた。しかし、墓参で用いる自衛隊輸送機の定員の関係で参加者が50人ほどに限られたり、村の事業で使う船が近年、島付近に係留できなくなったりして、訪島が難しくなっているという。
4日に会見した一般社団法人「硫黄島帰島促進協議会」の麻生憲司会長は、帰島できない状態を「戦後78年続く強制疎開」と表現し、「島民の高齢化も進んだ。せめて訪島の機会を増やしてほしい」と求めた。要望に対し、都は「国や村と連携して議論を進めたい」、村は「訪島の新たな代替手段について協議している」としている。(土舘聡一)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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