石川県立飯田高校(珠洲市)では体育館が被災したため、市内の多目的ホール「ラポルトすず」で卒業式が催された。卒業生89人の門出を、1、2年生計約160人や保護者らが祝った。
1日午後1時前、卒業生がホールに入場すると、参列者が拍手で迎えた。式に先立ち、地震の犠牲者に黙禱(もくとう)を捧げた。その後、卒業証書の授与などがあり、2年生が送辞を述べた。
卒業生代表として、北隆平さんが答辞に立った。春から石川県職員として働くという。
「地震によって大好きなふるさとを離れてしまった人やすみかを失ってしまった人が、ひとりでも多く安心して能登に帰ってきて、暮らしを取り戻すことができるように誠心誠意がんばっていきます」と誓った。
角秀明校長は、「皆さんはコロナ禍3年と大きな地震3回を経験し、大変な高校生活でありましたが、一方で、幾多の困難を体験したことにより、特段の生きる力や忍耐力がついています。どうか、夢と希望をもってがんばって下さい」とメッセージを贈った。
来賓として泉谷満寿裕市長らが出席し、「ふるさとの復興に関わってくれることを願っています」「復興に力を貸して下さい」などと呼びかけた。
学校によると、卒業生の多くは市外に進学するという。
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〈卒業生代表の北隆平さんの答辞〉
私たちの3年間は順風満帆だったとは言えません。
2年次には、忘れることのできない悲しい出来事がありました。1年B組の担任、宮本純弥先生を亡くしたことです。
いっしょに今日のこの日を迎えることができなかったことは無念ですが、この場を借りて改めて感謝の気持ちと、無事に卒業できたことを報告したいです。宮本先生、僕たちは、こんなにも成長することができました。ありがとう。
高校生活も最終盤となってきた冬。卒業まで楽しむだけだと意気込んでいた中、元日に能登半島地方を大きな地震が襲いました。
変わってしまった町並み、水道・電気などが使えないといった、経験したことのない生活にとても不安になりました。
一番影響を受けたのは、一般入試を控えていた受験生だと思います。環境が変わる中、困難に負けず目標に向けて支え合いながら、ひたむきに努力している姿は、とても頼もしかったです。
この経験は、これから先の人生に役立つと信じています。地震によって今までの、毎日学校に行って、友だちと会って、笑い合う日々のかけがえのなさを痛感しました。
私は、4月から石川県職員と…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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