何でもそつなくこなすことを自負してきた女性が良心に反する仕事を求められたら。こんな一人芝居「市長公室の木村さんが」が大阪で上演されている。反響が大きく、10月には追加公演が決まった。
主人公の「木村さん」は、市長の秘書役の部署に女性として初めて配属された。どんな仕事も笑顔で受け入れる「わきまえる女」と自負していた。
ある日、海外の姉妹都市に旧日本軍の慰安婦をモチーフにした少女像が設置された。市長は抗議の手紙を送ると決め、主人公に翻訳を命じる。
主人公は主語があいまいな文面に戸惑う。正確に訳したいと市長に真意を尋ねるが、「ケチをつけた」とし、「これだから女は」と言われる。追い詰められ、「わきまえる女」としての自分が揺らいでいく、というストーリーだ。
二つの出来事をモチーフに
劇作家で精神科医のくるみざわしんさん(55)が脚本・演出を手がけた。昨夏の初演から好評で、今春から隔月の定期公演に。4、6月の回は満席になった。
「市長公室の木村さんが」は、一人芝居「あの少女の隣に」と対になる作品として、大阪で上演されてきました。執筆のきっかけとなったのは、3年前のできごとでした。
脚本自体は完全なフィクションだが、二つの出来事を踏まえている。
一つは、くるみざわさんが暮…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル