テレワークが普及し、どこでも、いつでも仕事はできる。だから今、地方への移住が注目を集める。その中で「穴場」として人気なのが、実は茨城県。一見、地味な印象を覆す魅力を探った。
転入者増加数、全国トップ
総務省のまとめでは、2021年の転入者が前年と比べて47都道府県別で最も伸びたのは、茨城県の3501人だった。2位は埼玉県の3394人、3位は神奈川県の3385人と続いた。
また、転入者が転出者を上回る「転入超過」となったのは全国で10都府県のみ。中でも、茨城県は7位で、9位山梨県、10位群馬県とともに、外国人を含む集計を始めた14年以降、初めて転入が上回るプラスに。そして、初のトップ10入りを果たした。
東京、大阪、福岡など大都市圏も転入超過だった。ただ、前年より規模は縮小している。最も縮小した東京は、前年比から2万5692人減で、東京23区については、転入者より転出者が増える「転出超過」に初めて転じた。
「リアル移住ランキング」は東京や大阪を上回る
だが、転入超過数だけを単純に比較しても、都市圏と地方では人口規模が違う。その差を調整するため、総務省は各都道府県の転入超過数をその年の10月1日時点の人口で割って100倍した「転入超過率」を翌年4月末に算出している。転出超過の場合はマイナスになる計算だ。
この転入超過率について総務省は、「移住の実態を比べるうえで重要な目安になる」と説明。これを都道府県別に並べると、いわば「リアル移住ランキング」と言える。
21年については、ここでも茨城県は東京都や大阪府をおさえて6位にランクインした。
《21年の転入超過率ランキング》
①埼玉県 0.38%
②神奈川県 0.34%
③千葉県 0.26%
④福岡県 0.11%
⑤山梨県 0.09%
⑥茨城県 0.07%
⑥滋賀県 0.07%
⑧大阪府 0.06%
⑨東京都 0.04%
⑩群馬県 0.02%
湘南、鎌倉は移住バブル…茨城は「大穴」
こうした茨城の状況について、リクルートが運営する不動産情報サイト「SUUMO」の笠松美香副編集長は「コロナ禍で飲食業、旅行業が低迷し、東京、大阪、名古屋、福岡など大都市へ仕事を求めて移住する人が減った」と分析。「さらにリモートワークが進み、家賃の高い東京23区に住み続けるメリットが減り、隣接する地域へ移住する傾向が目立つようになった」とみる。
もともと東京都に隣接してアクセスのよい埼玉県、神奈川県、千葉県への移住者は増加の一途をたどってきた。この結果、大手不動産会社の担当者は「神奈川の湘南、鎌倉エリアは移住バブルが起こり、価格が大幅に跳ね上がった」と話す。
だからこそ、いま「大穴」として注目されるのが茨城だ。
笠松さんは「東京の東側エリアにある茨城県は今まで目立たなかったが、コロナ禍で利便性のよさ、土地、家賃が安いなどのコスパのよさからファミリー層に注目されるようになり、躍進した」と話す。
21年の茨城県への転入者の出身地をみると、東京都が最も多く1万1558人だった。
コロナ禍前、茨城県の転入超過率の順位は18年は28位、19年は24位で、いずれも数値はマイナス。つまり転出者の方が多かった。ここまで躍進したのは、なぜなのか。
茨城を舞台にした漫画「ダッペ帝国の逆襲」の監修者は、いま茨城が人気の理由をどう見ているのでしょうか。記事後半では、47都道府県の「リアル移住ランキング」も紹介します。
魅力度ランキング「最下位」で知名度アップ
茨城県在住で、著書「いばら…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル