「第二の保健室」の図書室…民間委託雇用、生徒と交流ダメ? 司書の役割とは(西日本新聞)

 子どもにとっての居心地の良さから「第二の保健室」といわれる学校図書館(図書室)の役割が軽視されている。運営を担う司書の配置数は増えてきたが、蔵書の管理や貸し借りだけに職務が絞り込まれたり、複数校の掛け持ちで時間の余裕がなかったりと、子どもと信頼関係を築くのが難しいケースが目立つためだ。学校司書のあり方について、業務委託された民間会社が雇用し、福岡県の中学校に勤務していた女性Aさん(40代)のケースから考えてみたい。

【画像】全国の公立図書館の正規・非正規職員数の推移

 インターネットで知り合った年上の男性に高額のスピーカーをプレゼントした-。女子生徒からの突然の告白に、Aさんは戸惑いつつもたしなめた。「好きな相手なら手紙でも喜んでくれるんじゃない?」。女子生徒にとって、保護者にも教師にも話せない内容を打ち明けられる大人はAさんだけだった。「図書館に通っていた子で、よくいろんな話をしていた」と言う。昨年のことだ。

「余計なことを言えば…」先輩司書からはくぎ

 司書は生徒を評価する立場になく、本の話題などを通じて子どもとの関係をつくりやすい。教師から学習態度でよく注意を受けていた別の女子生徒が、後に保護者からの虐待を受けていたと判明したのも、Aさんへの相談が端緒だった。

 Aさんが司書として働き始めたのは約10年前。当初は業務内容通り、面倒な生徒と関わらないようにしていた。「余計なことを言えば、自分たちに返ってくる」。先輩司書からはくぎを刺されてもいた。

ある生徒の一言がきっかけ

 認識を改めたのは騒ぐ生徒を静観していた時、ある生徒から投げ掛けられた一言だった。「注意もできんなら、ただのおばさんやん」。生徒にとっては自分も「一人の先生」なのかもしれない。必要に応じて注意し、悩みに耳を傾ける姿勢の大切さに気付いた。

 勤務先の校長の一人は、Aさんの取り組みを歓迎し、課題を抱える生徒の状況を見極め、支援策を話し合う会議にも出席させた。司書の本来業務でないことは認識していたが、Aさんはやりがいを感じた。


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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