警察に出す遺失届を使ってスマホを手に入れよう――。在留ベトナム人グループのフェイスブック上で、こんな誘い文句が飛び交っている。携帯電話会社の紛失補償サービスを悪用し、高額なスマホをだましとる手口が確認されており、警察は警戒を強めている。
「電話役」が偽りの届け出
「フェイスブックでやり方を教えてもらった。他の人もやっている」
携帯電話会社から今年1~2月に「iPhone(アイフォーン)12プロ・マックス」(15万円相当)をだまし取ったとして、大阪のベトナム人技能実習生の男ら5人が詐欺容疑で今月13日までに逮捕された。うち1人の供述からは、この手口の広がりがうかがえる。
兵庫県警国際捜査課によると、特定の携帯電話会社の紛失補償サービスが悪用されたという。毎月定額を支払えば、紛失時に数千~1万円程度でスマホを交換できる。
男らの手口はこうだ。まず警察署に電話をかけ「スマホをなくした」と、うその遺失届を受理してもらう。その受理番号を携帯電話会社側に伝えると、新たなスマホが届く、という流れだ。
手続きは電話とウェブ上のやりとりで終わる。警察署が受けた電話の声は女性だったため、「電話役」は別にいると県警はみている。
同課によると、こうした手口で高額なスマホを携帯会社からだまし取る被害は2018年ごろから各地で確認されているという。
被害に遭った大手携帯会社の広報部は取材に「虚偽の交換申し込みが判明した場合は違約金を請求する、サービス利用契約を解除するなど、厳しく対処していく」と回答した。
誘いに乗ると…自分が被害者に
記者は、在留ベトナム人たちのフェイスブックをのぞいた。化粧品や電化製品の売り買いや求人情報の中に、遺失届を悪用したスマホ詐欺を誘う投稿が散見される。
ただ、取材を進めると、狙いはスマホだけではないこともわかった。
東京都で働く技能実習生の男…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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