紙の請求書の作成、決済のハンコ押し…。 コロナ禍で在宅ワークを導入する企業の動きが加速した一方、「紙ベース」で業務をする各社の経理担当者の多くは、働き方が変わらず従前通り出社を余儀なくされた。 「コロナを経験した今変わらなければ、この先ずっと変わらない」 こうした問題を受け、ネット決済の代行サービス企業が、紙の帳簿書類の電子化を推進するプロジェクトをスタート。大手銀行を含め50社が賛同し、7月2日、キックオフの記者会見を開いた。
■あの頃、経理担当者たちは…
「経理担当の私だけ、ほぼ毎日出社してる…」 「書類はテレワークで作れるのに、銀行印のたった一押しのためだけに出社。どうにかなってほしい」 「経理はコロナなんて関係ない。紙文化でリモートできない」 緊急事態宣言の発令中、ネット上には出社せざるを得ない経理担当者の“悲鳴”があふれた。 名古屋市内の商社の経理部門で働く20代女性も、そうした事情に悩まされた一人だ。 宣言の発令中、勤務先の会社は出社でも在宅でも、社員それぞれが好きな勤務形態を選べるように配慮した。周りが在宅ワークをどんどん取り入れる中、女性はほぼ毎日出社した。 「主な取引先の銀行員と、紙の手形や小切手の受け渡しをするので、どうしても会社に行くしかありませんでした。社内向けの支払いの依頼書や伝票も、昔ながらのフォーマットで他部署の押印が必要。業務は紙ベースでデータ化は全然進んでいませんでした」 感染の不安を抱えながら、往復1時間半かけて通勤。家族や友人からも心配され、心苦しかった。だが女性は、請求書の電子化によるメリットは「リモートワークできることだけじゃない」と言う。 「これまでは臨時の支払いが発生した時に、わざわざ各部署にハンコをもらいに走り回っていました。紙の書類を手作業で打ち込むことでタイプミスも生じやすい。書類のデータ化でこういう無駄で雑多な業務がなくなれば、経理担当者を少人数で回せたり、空き時間で簿記などの勉強ができたりすると思います」
Source : 国内 – Yahoo!ニュース