足のむくみ、多数のタコ、外反母趾、腰痛…ヒール靴を履くことで深刻な被害を受ける女性は多いのに、着用がルール化されているのはなぜ?
共同通信が企業にヒール靴の規定についてアンケートすると、「お客さまに不快感を与えないため」「制服との調和を図るため」などの答えが返ってきた。
履きたい人は履いていい。でも、強制ではなく、選択の自由を認めてほしい。そう訴える「#KuToo」キャンペーンが広がっている。背景にあるのは、健康被害を負ってまで「女性のマナー」としてヒール着用が求められることへの疑問や怒りだ。統一感ある身なりで知られる職業、航空会社の客室乗務員(CA)に尋ねると、化粧や髪形まで細かなルールで縛られるケースも。息苦しさを感じている実態も見えてきた。
▽「避難訓練はスニーカー」の矛盾
「足の裏のタコの数がすごい。休日は足が疲れきって、外出できないことがある」
国内の航空会社のCAになって13年目の石井茜さん(32)=仮名=はため息をついた。機内では3~5センチの黒パンプス着用が定められ、自分で用意する。飲食サービス用のカートを動かしたり、客の手荷物を収納棚に収めたりと動き回るためパンプスは「消耗品」。3カ月に一足ははきつぶしている。勤務は長い時で9時間半に及び、足はむくんでぱんぱんに。揺れる機内で踏ん張るとよろけることもある。「怖い」のが本音だ。
CAは本来、保安要員のはずだが、いざという時にパンプスで十分に動けるとは思えない。ちなみに、避難訓練時はスニーカーでさせられている。脱出用滑り台を破らないためだ。「なんか矛盾していますよね」と苦笑いをした。
小さいころから憧れてきたこの職業は「思った以上の肉体労働」だ。足の悩みも尽きない。これまでは「こんなものかな」と規定を疑問に感じたことはなかったが、今は違う。
「確かに人の前に立つ仕事だから、会社が求めるCAのイメージは大事にしたい。でも、体調が良くない時ぐらいはヒールが低い靴を履いても良いとか、選べる自由も重要だと思う」
規定は靴以外にも及ぶ。石井さんによると、爪の長さは2ミリまで。別の50代CA伊藤陽子さん=仮名=が勤務する国内航空会社では、アレルギーがない限り白髪は染め、化粧も口紅を赤くしっかり塗るなどの規定がある。体重が増えて制服のサイズを上げることを上司に申し出にくい雰囲気があり、「出産後にダイエットをがんばって体型を戻した」と話す同僚もいた。それもこれも「男性目線での『美しさ』が求められているから」だと感じている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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