太平洋戦争中のインドネシア・ジャワ島で、国策のプロパガンダ映画を製作した編集者がいた。その息子の映像作家が30年かけて父の記録をたどり、88分の映画にまとめた。「いまはむかし 父・ジャワ・幻のフィルム」は、5日から神戸市中央区の元町映画館で上映が始まる。
この映画を撮ったのは、知的障害や脳性マヒの当事者に焦点を当てたドキュメンタリーを手がけてきた映像作家の伊勢真一さん(73)。父は、戦後の記録映画の歴史に数々の名作を残した編集者・伊勢長之助(1912~73)だ。
長之助は、大阪万博や戦後日本の復興を支えた製鉄業などを映した記録映画に携わり、「編集の神様」とも呼ばれた。ただ、その力量は戦意高揚にも使われた。42年に報道班員として出征し、日本映画社ジャワ支局で3年半勤務した。
ジャワの路地裏 尋ね回った父の記憶
開戦直後、日本軍は当時オラ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル