スマートフォンで縦にスクロールして読む「縦スクロールマンガ」が人気だ。紙のページをめくって読む前提で発展してきた日本のマンガ市場は変わるのか。
マンガアプリ「ピッコマ」は昨年、日本国内のマンガアプリの年間売り上げ1位を前年に続いて獲得し、累計ダウンロード数は3千万を超えた。そのピッコマの代名詞とも言えるのが、縦スクロール、フルカラーのマンガ「SMARTOON(スマトゥーン)」だ。
「ピッコマが扱う電子マンガやノベルなど約9万作品のうち、スマトゥーンは1200作品ほどですが、売り上げの半分ほどはスマトゥーン。絵が大きくて文字が少なく、サクサク読めるところが非常にウケている」。ピッコマを運営する「カカオピッコマ」の熊澤森郎・常務執行役員はそう分析する。
縦スクロールマンガは、2000年代初めに韓国で「ウェブトゥーン」として本格的に広がりはじめた、文字どおりウェブ上で読むマンガだ。
雑誌連載を前提に発展してきた日本のマンガはモノクロが基本で、右から左へと横に読むスタイルが主流だ。それに対し、ウェブで読む縦スクロールマンガはフルカラーで、画面上のマンガを指で下から上に流していくように読む。
日本の横読みマンガは近年、コロナ禍の巣ごもり需要も追い風に、国内の電子市場で急速に売り上げを伸ばしてきた。ただし、描き込みが緻密(ちみつ)で小さいコマや文字も出てくるため、スマホの画面上では拡大が必要になるなど、読みづらさがつきまとう。対して縦スクロールマンガは、スマホの縦長の画面に最適化することで人気を広げている。
韓国発のウェブトゥーン作品「梨泰院クラス」がネットフリックスでドラマ化されて日本でもブームになるなど、韓国を中心に数々のヒット作品が生まれている。中国や北米など、その人気は世界に広がる。
ピッコマでは、19年ごろから縦スクロールマンガの売り上げが急成長した。扱う作品の多くは韓国発で、なかでもファンタジーアクション作品の「俺だけレベルアップな件」は累計の閲覧回数が5億回を超えるヒットとなった。
16年にサービスを開始したピッコマが、日本国内のマンガアプリの売り上げ首位に上り詰めた主な要因の一つに、縦スクロールマンガの「手軽さ」がある。
記事の後半では、日本発の縦スクロールマンガ作品を世界へ発信しようとするLINEマンガやKADOKAWAなどの挑戦を紹介します。さらに、マンガ研究者が「巨大かつ閉鎖的」な日本のマンガ市場が生き残るために必要なことを提言します。
ピッコマは普段あまりマンガ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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