母親は保護責任者遺棄致死罪のみ
札幌市中央区の池田詩梨(ことり)ちゃん(2)が衰弱死し、保護責任者遺棄致死容疑などで母親と交際相手が逮捕された事件で、札幌地検は18日、交際相手の飲食店経営藤原一弥被告(24)について、詩梨ちゃんに暴行を繰り返したとされることを重視し、傷害致死罪での起訴に踏み切った。現場のマンションは「密室」で、決定的な証拠が乏しい中、地検と道警はけがの状況を分析するなどして暴行が詩梨ちゃんの死につながったと結論づけた。
「幼い詩梨ちゃんは大きなけがをした上、病院にも行けなかった。起訴内容は、事件の全容を捉えたものだ」。2人の起訴後、捜査員はこう話した。
道警は6月上旬、藤原被告と母親の飲食店従業員池田莉菜被告(21)を詩梨ちゃんへの傷害容疑で逮捕した。
捜査関係者によると、詩梨ちゃんは死亡時、体重は6キロとやせ細り、2歳女児の平均体重の約半分しかなかった。頭部の骨折や硬膜下血腫なども確認されたほか、全身に皮下出血などのけがを負っており、上半身や足の裏にやけどもしていたという。「遺体は傷だらけだった」と捜査関係者は振り返る。
しかし、司法解剖の結果、死因は低栄養による衰弱死。道警は当初、「暴行と死を関係づけるのは難しい」とみていた。
両被告はいずれも傷害容疑を否認し、捜査は難航した。ただ、両被告が5月に入り、詩梨ちゃんを置き去りにして札幌近郊へ外出していたことが防犯カメラの映像で判明。死亡は深刻な育児放棄(ネグレクト)の影響が大きく、暴行によるけがの治療などをさせず、食事も与えなかったなどとして、道警は6月27日、保護責任者遺棄致死容疑で両被告を再逮捕した。
その後、道警や地検は、池田被告の供述などから、藤原被告が詩梨ちゃんに暴行を繰り返していた疑いを強めた。
地検によると、詩梨ちゃんの全身のけがや頭部の骨折、硬膜下血腫は藤原被告が固い物を打ち付けたことのほか、殴打や足で踏みつけたことによる疑いがあることが分かった。こうした暴行は、詩梨ちゃんが死亡する6月5日ごろまで続いていたという。捜査の結果、地検は「暴行と低栄養状態が相まって衰弱死を招いた」と判断した。
また、地検は「暴行によって詩梨ちゃんの衰弱を深めた藤原被告には、詩梨ちゃんを助ける責任があった」として、藤原被告の起訴内容には、衰弱した詩梨ちゃんを放置するなど保護責任者遺棄致死罪に当たる事実も含めた上で傷害致死罪を適用した。一方、池田被告は暴行への関与がないものの、必要な保護を怠ったとして保護責任者遺棄致死罪だけで起訴した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース