耐震性などの基準を満たしていない分譲マンションについて、法制審議会(法相の諮問機関)の部会は16日、所有者の4分の3以上の賛成があれば建て替えられるとする要綱案をまとめた。安全性が損なわれる前に、必要な対策をしやすくする狙い。法務省は通常国会に、区分所有法などの改正案を提出する方針だ。
これまでは所有者の5分の4以上の賛成が必要だったが、建物が老朽化し、所有者も高齢化する「二つの老い」が進むなか、要件が厳しく、必要な対策に向けた合意が得にくいとの指摘があった。所有者ごとの財産権と全体の利益が対立することもあり、合意形成のあり方を検討してきた。
要綱案は、①耐震性②防火性③外壁の安全性④給排水の衛生状況⑤バリアフリー設備――が一定の基準を満たしていない場合、4分の3以上に緩和するとした。
一律に4分の3以上とする案も検討したが、今夏に実施したパブリックコメントで「反対する人の権利を必要以上に制約する」といった意見が寄せられ、安全性が損なわれるおそれがある場合に引き下げることにした。
原則、所有者全員の同意が必要だった建物・敷地の一括売却についても多数決で決められるようにし、5分の4以上の賛成があれば可能とした。
同法によれば、決議に参加しない所有者は反対とみなされる。国土交通省の調査では、所有者が所在不明などの空き室が10%超のマンションもあるという。そのため、裁判所の決定で、所在不明の所有者らを決議の母数から除外できるようにすることも盛り込んだ。
また、建て替えや売却、解体…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル