「育児に疲れた」「一人旅に」でもOK 子の預かり、広がる条件撤廃

 冠婚葬祭や出張時に、子どもを最大6泊7日預かる公的サービスで、利用条件を緩和する自治体が増えてきた。条件をほぼ撤廃し、「育児に疲れた」「子どもと離れて一人旅に出たい」でもOKな自治体も。育児疲れによる虐待を防ぐ狙いがある。

 こども家庭庁によると、国から補助が出る子育て短期支援事業では、子どもを24時間預かる「ショートステイ」、夜間だけ預かる「トワイライトステイ」などの事業を全国の約580市区町村が実施している。利用料は1日1人3千~5千円前後で、ひとり親や生活保護世帯は減額や無料となるケースが多い。

 利用条件は各自治体で異なるが、福岡市は、児童虐待対策の強化を目的に児童福祉法が改正された2016年ごろに条件をほぼ撤廃した。「友人と旅に行きたい」「遊びたい」なども認める。神戸市兵庫県明石市も同様に利用条件を限定していない。

 横浜市は「旅行」は認めないが、育児疲れは対象とする。京都市は20年から育児疲れを対象に加え、「旅行」は「話を聞いて必要と判断すれば」認めることもある。

 預かり先となる里親を仲介するNPO法人「SOS子どもの村JAPAN」(福岡市)の担当者は、「この事業は、虐待のリスクが高い家庭の早期発見にもつながっている」と話す。真っ暗な部屋で子どもが立って食事をしている、子ども2人に発達障害があり親が疲れ果てている――。こんな家庭もあったという。(松本江里加)

主な自治体の利用条件は…

子育て短期支援事業の補助金交付額(2021年度)が多い自治体と利用条件(①出張・冠婚葬祭・病気②育児疲れ③旅行)

1 横浜市 ①○②○③×

2 京都市 ①○②○③△

3 福岡市 ①○②○③○

4 東京都足立区 ①○②○③×

5 札幌市 ①○②○③×

6 東京都練馬区 ①○②○③×

7 東京都調布市 ①○②○③×

8 東京都港区 ①○②○③×

9 東京都板橋区 ①○②○③△

10 神戸市 ①○②○③○

21 兵庫県明石市 ①○②○③○

(△は「話を聞いて必要と判断すれば」などの条件付きで認める)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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