自然の中で生きたいと思い始めた転機は、旅行中に読んだ本だった。
北海道池田町でエゾシカを狩猟する長谷(はせ)耕平(37)は、東京都内で育った。
父は国家公務員。父の転勤で国内外に住んだが、北海道に縁はなかった。
連載「シカ革の靴をたどって」(全5回)
ネットで偶然見つけたエゾシカ革の靴は、北海道池田町が用意したふるさと納税の返礼品だった。履いてみると、あまりの柔らかさと履き心地の良さに驚いた。誰が、どうやってつくったのだろう。池田町を訪ねてみた。
その本と出会ったのは、上智大法学部に在学中、アルバイトでお金をためては旅に出た時だ。
アフリカ、中東、北米、そして、アラスカ……。旅の途中で偶然、バックパッカーと交換して星野道夫の本を手にした。
探検家で写真家、作家でもある星野。1996年にカムチャツカ半島での取材中、クマに襲われて亡くなるまで、アラスカを中心にした環北太平洋地域の野生動物や、そこで暮らす人々の生活を紹介した。
星野が見せてくれた世界に引き付けられた。
「寒冷地で狩猟生活を」
一方で、効率都市化した東京…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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