「自認する性」と外見の性が違ったら 女性トイレ侵入容疑で書類送検

 大阪市内にある商業施設の女性トイレに入ったとして、大阪府警は6日、戸籍上は男性で自認する性は女性だと説明する40代の施設利用客=大阪府内在住=を建造物侵入容疑で書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。「いけないことだと分かっていたが、女性と認められている気がして女性トイレを使いたかった」と供述しているという。

 捜査関係者によると、送検時に府警が付けた意見は起訴を求める「厳重処分」ではなく、検察に判断を委ねる「相当処分」だという。府警には昨年以降、施設側から「女性トイレに女装した男が入っている」との相談が度々寄せられていた。

同じフロアに多目的トイレも

 送検容疑は昨年5月29日午後5時ごろ、大阪市内の商業施設の女性トイレに正当な理由なく侵入したというもの。同じフロアには男女問わず利用できる多目的トイレもあるという。

 捜査関係者によると、利用客は府警に「子どものころから自分の性別に違和感があった」と説明。職場で男性として過ごす一方、少なくとも10年以上、休日に女性用の服で外出していたといい、「女性トイレを何十回も使った」と話したという。体と心の性が一致しない「性同一性障害」であることを示す診断書などはなかったという。

異例の送検 トイレ利用、どうしたら

 トランスジェンダーと訴える人のトイレ利用が送検されるのは極めて異例だ。事件は波紋を広げた。

 自身も性的少数者で、LGBTQの子どもや若者を支援する一般社団法人「にじーず」(横浜市)代表の遠藤まめたさん(34)は、「多くの当事者は自認する性を受け入れてもらうのに長い時間をかけ、トイレを使う時も周りとトラブルにならないことを一番に考えている」と話す。「今回の事件が注目され、トランスジェンダーへの偏見が広まらないか心配だ」

 住宅設備大手LIXIL(リクシル)とNPO法人「虹色ダイバーシティ」の2015年の調査で、トランスジェンダーの6割超が「職場や学校のトイレ利用で困る・ストレスを感じる」と回答した。約6割が「他の利用者から不審な目で見られた」という経験を持つ。約4分の1が、トイレを我慢してぼうこう炎になるなどの症状が出たと答えたという。

 性同一性障害の診療などに取り組む岡山大大学院の中塚幹也教授(生殖医学)は、「社会のトランスジェンダーへの理解が追いついていない現状を踏まえ、慎重な行動が求められる場面が多いのが実情だ」と指摘する一方、「自認する性のトイレに入りたいのは当然のことで、本来ならそれが認められるべきだ」と話す。

 自認する性でのトイレ利用について、司法の判断も分かれる。

 戸籍上は男性だが女性として…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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