航空自衛隊のF2戦闘機から、操縦席を覆う風よけの風防が落ちる事故が今月10日に起きた。落下そのものが重大な事故につながりかねない一方で、飛行中に操縦席がむき出しとなる危険な事態が生じていた。一体、何があったのか。
10日午後0時45分ごろ、福岡県の空自築城基地からF2が緊急発進した。だが山間部を飛行中の0時50分ごろ、風防が地上に落下。午後1時4分ごろ、基地に戻った。風防の重さは約90キロ。防衛省が捜索中だが見つかっていない。
落下時の飛行速度は時速約830キロ、高度約7千メートル。落ちた風防は機内の出入り時に開閉する中央部分で、機体に接合された前後の風防は外れず、風圧の直撃は免れたとみられる。
乗員にはどれくらいの風圧がかかったのか。
高速空気力学が専門の高山和喜・東北大名誉教授によると、高度7千メートルは地表に比べ大気の密度が半分ほどであることも勘案すると、時速50キロの乗用車の窓から顔を出した時に受ける風圧に比べ、時速830キロの操縦席で受ける風圧は最大約200倍となる。「致命的な力がかかる。残った風防で直接当たらなかったにせよ、よくぞ生還した」と驚く。
そもそも、風防はなぜ外れたのか。
航空・軍事評論家の青木謙知…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル