「お花があることで救われる人がいる」
昨年4月23日に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が知床半島沖で沈没した事故後、遺体安置所となった北海道斜里町の体育館には、献花台が設置された。犠牲者へと多くの花束が手向けられた。
体育館からほど近い、斜里町中心部の生花店「Flower&Gift くろーばー」で店長を務める。花の手入れを任された町の職員らと共に、献花台の移ろいを見守ってきた。
武藤香苗さん
53歳。地元生花店の店長
きっかけは、事故の翌週に遺体安置所で対応する町職員からもらった電話だった。
「お花がいっぱいで、アドバイスをもらえないか」
駆けつけると、入り口に置かれたテーブルには花束があふれていた。
町職員がペットボトルで作った手製の花入れや、持ち寄った花瓶で生けようとしていた。
だが、それでも花束の数が多くて追いつかない。すぐに、実家の切り花生産農家の資材置き場からおけを集めて貸し出した。
「こんなに多くの人の気持ちが」
それ以来、約1カ月にわたり…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル