1日まで3日間のインド出張を終えた茂木敏充外相は国会会期末の9日以降、海外訪問を本格化させる。今国会の最重要課題である日米貿易協定承認案の審議に集中するため、開会中は訪印以外の外遊日程を入れなかったが、閉会後は北方領土問題を抱えるロシアや東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国などを精力的に回り、「茂木外交」を加速させる。
「『力ではなく法が支配する世界』の深化のため、日本外交に取り組みたい」
茂木氏は2日、東京都内で開かれたシンポジウムで講演し、国際ルールに基づく平和的な外交を今後も展開する考えを示した。
9月の外相就任後、外部の講演で外交政策を発信するのは今回が初めて。国会会期末を見据え、茂木外交を本格始動させたともいえ、日本が提唱する「質の高いインフラ整備」に向け、ASEAN加盟各国に2020(令和2)~22(同4)年の3年間に官民で30億ドル規模の投融資を目指す方針も表明した。
会期の延長がなければ、12日からスリランカを訪れ、15、16両日にはスペインのマドリードで開かれるアジア欧州会議(ASEM)外相会合に出席。17日からロシアを訪問し、日露平和条約締結をめぐる交渉責任者としてラブロフ外相との会談に臨む予定だ。
さらに1月は上旬から中旬にかけてASEAN加盟4カ国を歴訪するほか、訪米も調整している。米国では、来年が1960(昭和35)年の日米安全保障条約改定から60周年の節目となるのに合わせ、ポンペオ米国務長官と日米同盟の重要性を再確認したい考えだ。
茂木氏は、経済再生担当相時代に日米貿易交渉で見せた粘り強い交渉力が持ち味。国会開会中もハイペースで外遊を重ねた前外相の河野太郎防衛相とは一線を画し、国会対応に軸足を置いてきたが、「今後は茂木氏らしさを発揮する外交を展開する」(外務省関係者)見通しだ。
ただ、最重要の外交課題である日露平和条約締結交渉は、北方領土をめぐり露側が強硬な姿勢を変えていない。膠着する領土交渉を打開できるかが茂木外交の試金石となる。(力武崇樹)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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