中国地方のキャンプ場で、冬季のキャンプの人気が高まっている。週末や長期休暇は、予約で埋まる場所が相次ぐ。アウトドアシーズンとされる夏に比べ、虫が少ないことなどの利点もあり、「夏より快適」と受け止める人も。キャンプはブームの高まりを受けて、愛好者の層も拡大。一方、専門家は冬ならではの事故が起きる危険性を指摘し、注意を促している。
昨年12月下旬の週末。三次市作木町の江の川カヌー公園さくぎは、電源付きオートキャンプ場10区画が全てテントで埋まった。まきで火をおこし夕食の準備を進めていた広島市安佐南区の会社員桑田祐さん(39)は、「寒い中、温まるのが心地いいし、火を眺めていると無心になれます」と冬のキャンプの魅力を語る。
この日の三次市の最低気温は0・2度と冷え込んだが、桑田さんは「服を着込めば問題ない。冬は虫がおらず熊に遭遇する心配もない。空気も澄んでいる」とむしろ歓迎する。
同公園のキャンプ場は、2018年から冬季の利用が急増。昨年12月は174人で、17年同月の42人の約4倍に上った。特に1人の「ソロキャンプ」が増えているという。同公園チーフインストラクターの福間史教さん(44)は「一昔前まで冬キャンプは一部キャンパーの趣味だったのに」と驚く。
野呂山キャンプ場(呉市)の担当者も18年以降、「従来の倍くらいの利用がある」と説明する。女性の1人客の姿もあり「利用層が多様化している」と話す。冬場に月平均約200人の利用がある大鬼(おおぎ)谷オートキャンプ場(庄原市高野町)の担当者は「少人数で静かな非日常を楽しみたい人が増えているように感じる」と話す。
アウトドア用品専門店のパワーズ広島店(広島市安佐南区)のキャンプ用品担当の目黒憲子さん(40)は、17年ごろからキャンプブームが続いていると指摘。「テレビのバラエティー番組などでキャンプが取り上げられたのが大きい。氷点下の環境に耐えられる寝袋やストーブが昔に比べて軽量になり、運びやすくなったことで重装備が必要でなくなったことも後押ししている」とみる。
会員制交流サイト(SNS)が普及し、「インスタ映え」を求める人が増えたことや、「脱スマホ」で1人の時間を大切にしたい人が増加しつつあることも要因だとみられる。
一方、日本オートキャンプ協会(東京)は、冬キャンプの人気で、事故の増加を懸念する。「テント内でストーブを使用したり、たき火をしたりし、一酸化炭素中毒になる例もある。テント内で火を使わないで」と呼び掛けている。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment