「血も涙もない対応」 水俣病訴訟でチッソが控訴、原告から怒りの声

 水俣病被害者救済法(特措法)に基づく救済を受けられなかった原告128人が、国や熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟で、チッソは4日、原告全員を水俣病と認めて賠償を命じた一審・大阪地裁判決を不服とし、大阪高裁に控訴した。原告からは怒りの声が上がった。

 水俣病は公式確認から67年が経過し、原告の平均年齢は70歳を超える。原告の前田芳枝さん(74)=大阪府島本町=は「私たちの大変な状況を知りながら、血も涙もない対応で悲しい。訴訟の原告だけでなく、被害者全ての救済を掲げて頑張るしかない」と話した。原告弁護団は「高齢化する原告らを生きているうちに救済するには一刻の猶予もない。満身の怒りを込めて抗議する」との声明を出した。

 同種訴訟は熊本、新潟、東京地裁でも起こされ、大阪地裁が初の判決だった。国と熊本県は控訴期限の11日までに対応を決めるとみられる。

 地裁判決は、チッソの排水で不知火(しらぬい)海の魚介類は汚染され、継続的に食べた人は、水俣病を発症する程度にメチル水銀を摂取したと推認できると認定。原告全員を水俣病と認め、1人あたり275万円の賠償を命じた。(森下裕介、山本逸生)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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