高橋淳
【千葉】松戸市の小規模保育事業所「コモレビ・ナーサリー」で不適切な保育が発覚した問題で、運営する社会福祉法人「菊光会」が20日夜、会見を開いた。「行ってはならない暴力的行為」と事実関係を認めた上で、「(不適切な保育は)ないとの前提で物事を考えていた」と謝罪した。
会見前にあった保護者説明会には、約30人の保護者らが参加した。立ち会った市によると、子どもをたたくなどした保育士について保護者から「誰なのか知りたい」と求められたが、法人側は応じなかった。
防犯カメラの映像を確認したいとの要望にも「(データは)警察に渡しているので見せられない」と説明した。複数の出席者が「説明にならない」と市に退園の意思を示したという。
その後の会見で、菊光会の佐々木勇人(はやと)事務長(63)は市への内部告発以前に職員らから不適切な保育を指摘する声があったかを聞かれると、「まったくなかった」。保育士の水増しなどで約1200万円の補助金を不正受給したことについても、「会計責任者である私の判断」と話した。
保育現場に詳しい塩谷香・国学院大教授(保育学)は「待機児童解消をめざし、行政は施設を増やすことに躍起になったが、量よりも質を見直す段階にきている」と指摘する。
保育士の専門性を担保して人間性を高めるために、定期的な研修や現場での指導は欠かせないという。塩谷教授は「保護者側も子どもを任せきりにせず、施設と積極的に意思疎通を図ることが大切だ。虐待があれば、子どもの行動に異変が表れる。様子をよく見てほしい」と話す。(高橋淳)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル