コロナ禍3年目の夏休みを迎え、首都圏から日帰りで訪れることができる神奈川県内の観光地は、にぎわいを取り戻しつつある。その中のひとつ、横浜中華街(横浜市中区)は街の景観改善に本格的に乗り出している。いま取り組むわけとは。
道路に散らかるごみ、通行を妨げるほど大きな看板――。横浜中華街を歩くと、こんな光景を目にすることがある。
ごみの不適正排出や不法占用の看板は近年、中華街が頭を痛めてきた問題だ。横浜市と神奈川県警が5日、そうした行為を取り締まる合同啓発指導を行った。だが横浜中華街発展会協同組合の高橋伸昌理事長(63)が指導後に街を巡ると、撤去したはずの看板の一部は元に戻されていたという。「心底がっかりした。罰則がなければ、従うのはその場だけ。いたちごっこですよ」
集積所の違反ごみと共に食べ歩きのごみ問題も深刻だ。約250の飲食店がひしめく中華街に食べ歩き店は50~60店ほど。ごみ箱はほぼ全店が備えるが他店のごみも受け入れる店は約2割。飲料のみ扱う店ではごみ箱設置も進んでいない。
近くの山下公園のごみ箱は、中華街や近隣の飲食店の空き容器で休日は満杯になる。「汚いという苦情もある。夏場は悪臭も強まるので早急な対策が必要だ」と高橋さんは指摘する。
背景には、中華街で生きる人々の世代交代がある。戦前や戦後まもなくから暮らす老華僑から、1980年代以降に来日した新華僑、さらに次世代の新々華僑らへと主軸が移りつつある。「老華僑には日本人と共にこの街を育ててきた自負があり、街は我が家。汚れに気付けば清掃し、ごみがあれば拾ってきた」と高橋さん。一方で「新世代の一部にはそうした意識が薄い人もいる。商売繁盛はルールを守り、共存共栄あってこそだが、日本語が不自由な人もおり、徹底は難しい」と話す。
発展会の理事35人は、日本…
【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment