国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の企画展「表現の不自由展・その後」の中止をめぐり、愛知県は21日、名古屋市で「表現の自由に関する国内フォーラム」を開いた。出展作家らが作品と再開への思いを語り、会場の参加者からは賛否の声が上がった。
県の検証委員会主催で、約80人が参加した。検証委はこの日の意見も踏まえ、中止に至ったポイントや判断の妥当性について中間報告をまとめる。
企画展は、慰安婦を表現した少女像や、大浦信行さんの昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品などに抗議が相次いだ。
フォーラムでは大浦さんの作品を公開。「僕自身の内なる天皇を見つめるのがテーマ。天皇を非難、冒とくする意図はなく、(映像内の)従軍看護師に託して祈りを捧げている」という、検証委の調査に答えた大浦さんの発言が報告された。
小泉明郎さんは天皇制に関する作品を企画展に出展。「美術作品は様々な解釈を可能にするもの。一日も早く再開し、みんなが意見を言える場所が美術館であってほしい」と語った。
会場の参加者からは賛否の声があがった。「再開されないと表現の自由がどうなるか。子どもにこんな社会を残してはいけない」という声の一方、「どこが芸術か。日本をおとしめている」との意見も出た。作家グループ「Chim↑Pom」の卯城竜太さんは、大浦さんの作品を何度も見るうちに気持ちに変化があったと話した。「悩み続けて何回も見ると感想も変わる。だからこそ見てほしい。新しい価値観、社会が生まれると信じてアートをやっている」と話した。
津田芸術監督が発言する機会はなかったが、フォーラム後に参加者と意見を交わしていた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル