神戸地裁で23日に判決が言い渡された、神戸・高2刺殺事件。堤将太さん(当時16)を事件で失った父・敏さん(64)は、その日の公判が終わるたびに会見を開き、心境を吐露した。事件から12年8カ月。裁判にかけた思いを、会見の言葉から振り返る。
【1日目(6月7日)=被告(30)の罪状認否、検察側の冒頭陳述、被告の父親に対する証人尋問】
――被告が法廷に入ってきて、どう思ったか。
「一切目を合わそうとしませんでしたからね。ただ出てきて、ひとごとのような印象を受けました」
――(被告の父に)思うように質問はできたか。
「ちょっと父親の態度がかけ離れ過ぎている。やっぱり無責任さが出てるし、もう話せば話すほど(こちらに)力が入ったようなところはありました」
――裁判所に来る前に将太さんに語りかけたことは。
「いや今日は一緒に来てるつもりでおりますんで」
――被告を当時17歳の元少年として、法廷でも名前が出されずに裁かれていることをどう受け止めるか。
「30歳の被告を少年法を適用した裁判でいいのかな。更生を目的とした裁判でいいのかなっていう思いはあります」
――被告は「被害者の氏名や年齢、どこで亡くなったかわからない」と。
「罪を犯した、悪いことをしたという認識、意識もないんかなと思いました」
――2日目に被告への質問がある。どういう姿勢で、返事をしてほしいか。
「もう今日もう見ていて、答えは期待できないんじゃないかと。そういう印象を受けました」
――それでも真摯(しんし)に向き合ってほしい?
「それはそうです。ちゃんと答えて欲しいですよ。全て包み隠さず、話してほしい」
【2日目(8日)=被告人質問。敏さんも質問に臨んだ】
――1日目と違って、かなり敏さん自身が落ち着いてみえた。
「(被告の父の)振る舞いにちょっと腹を立てたとこあったんで、かなり熱くなってましたけど、今日は、できるだけ落ち着いていこう、と自分に言い聞かせて。今日こそ、こっちがもう感情的になったらあかんと思ってたんで、それは気をつけてやりました」
――今日一番聞きたかったことは。
「やはり、なんでうちの子を殺した、っていう。だから一番最初にそう聞いた。答えへんかった」
――将太さんへの謝罪のような言葉が示された。
「謝罪にも何にもなってない…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル