静岡地裁が出した再審開始決定から9年をへて、袴田巌さん(87)の再審開始が13日、東京高裁で認められた。5年前に再審開始決定を取り消した東京高裁が、差し戻し審理を経て出した正反対の判断に、弁護団や支援者らには安堵(あんど)の表情が広がった。
「検察の抗告棄却」「再審開始」。東京高裁前で弁護団が2枚の幕を掲げると、支援者らに笑みが広がった。拍手とともに「よかったー」「ご苦労様」の声が上がり、やがて「FREE HAKAMADA NOW!(今すぐ袴田さんを自由に)」のかけ声がわき起こった。
「ことごとく検察官の主張を排斥した画期的な決定だ」。弁護団長の西嶋勝彦弁護士は会見でそう強調した。
焦点の一つは、2014年に再審開始への扉を開いた弁護側の「みそ漬け実験」に対し、検察側が独自に行った実験の結果だった。血痕が黒褐色に変わると主張した弁護側に対し、検察側は実験結果の写真をもとに「赤みが残った」と訴えた。高裁は今日の決定で弁護側の主張を認め、「むしろ赤みが残らないことが明らかになった」と指摘した。
実は裁判官は写真に頼らず、静岡地検を訪れて実物の色みを肉眼で確認していた。弁護団の間光洋弁護士は「裁判官が『誤解してはならない』との思いで足を運んでくれた結果だ」と高裁裁判官の姿勢を評価した。
弁護団はこの日、東京高検が決定を不服として特別抗告をしないよう申し入れも行った。
支援団体の事務局長を務める…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル