山岸玲
停滞する前線による西日本を中心とした記録的大雨は14日も続き、3年前に中国地方に甚大な被害をもたらした西日本豪雨の雨量を超える地域も出た。15日も前線に伴う低気圧の影響で大気の不安定な状況が続くという。気象庁は引き続き最大級の警戒を呼びかけている。
気象庁は14日早朝までに長崎県と佐賀県、福岡県に、昼すぎに広島県に大雨特別警報を出した。対象地域は午後5時時点で、4県の35自治体。
佐賀県嬉野市では降り始めからの総雨量が14日夜に1千ミリを超えた。同日の72時間雨量の最大値は午後7時10分現在、佐賀県嬉野市929・5ミリ▽長崎県雲仙市848・5ミリ▽富山県氷見市290・0ミリ▽岐阜県中津川市278・5ミリなど。九州を中心に東海や北陸、中国地方を含む46地点で観測史上最多となった。この中には死者263人を出した2018年7月の西日本豪雨で被害が出た広島県や福岡県、佐賀県などの複数の観測点も含まれている。
前線、20日ごろまで停滞の見通し
前線は15日にいったん太平洋側に南下し、雨は小康状態になる地域もあるが、20日ごろまで停滞する見通し。気象庁予報課の黒良龍太課長は14日の記者会見で、「前線はすぐに北上し、1週間程度本州付近に停滞する可能性がある。安心する状況では決してない」と話した。引き続きいつどこで災害が起きてもおかしくない状況は続くという。
15日午後6時までの24時間雨量の予想は多いところで、東海300ミリ▽関東甲信250ミリ▽九州北部と四国、中国、近畿200ミリ▽九州南部180ミリ▽北陸と東北100ミリ。16日午後6時までの24時間では、九州南部100~150ミリ▽九州北部と関東甲信50~100ミリ▽四国と中国、近畿、東海、北陸、東北約50ミリ。
「緊急安全確保」、4県142万3千人に発令
総務省消防庁によると、14日午後0時半時点で、避難情報のうち最も危険度が高い「緊急安全確保」(警戒レベル5)は福岡、佐賀、長崎、広島の4県23市町で約65万1千世帯の142万3千人に発令。避難指示(同4)は北陸から九州にかけての22府県164市町村で、約188万8千世帯に出されている。
熊本県人吉市では14日午前、男性1人が増水した球磨(くま)川に流された可能性があるとみて、警察や消防が調べている。広島県東広島市では14日午前、住民から「田んぼの様子を見に行った家族が戻らない」との通報が市消防局にあった。外出した80代の男性の行方がわかっていないという。
長崎県雲仙市で13日未明、住宅が土砂崩れに巻き込まれて住人の森文代さん(59)が死亡した現場では、行方がわからない夫の保啓(やすひろ)さん(67)と娘の優子さん(32)の捜索が14日も続いた。15日も午前7時半から県警や陸上自衛隊、消防関係者らが約200人態勢で続けるという。(山岸玲)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル