「見たかったな、スーツ姿」5年がかりの慰霊碑、雪崩事故遺族の思い

 県立大田原高校の山岳部員7人と引率教諭1人が亡くなった栃木県那須町の雪崩事故から27日で5年になる。大田原高で26日、追悼式が開かれた。5年がかりで完成した慰霊碑の除幕式もあり、遺族や学校関係者が8人に祈りを捧げた。

 大田原高で追悼式が開かれるのは初めて。昨年までは事故現場に近い那須町の展望台が会場だった。

 遺族代表としてスピーチをした鏑木(かぶらぎ)悠輔さん(当時17)の母・恵理さん(54)は「本来ならこの春、(息子は)社会人になるはずだった。将来は体育教師か警察官になりたいと言っていた。見たかったな、スーツ姿」と声を詰まらせた。

 「これからもあなたたち8人は一番大切な宝物なのです」と語りかけた鏑木さん。「残念ながら(事故当時の責任者だった)3教諭はこの場にいない。来年は一緒の場で追悼できることを望みます」と結んだ。

 追悼式に先立つ慰霊碑の除幕式では、佐藤宏祐さん(当時16)の父・政充さん(52)が「事故を風化させず、8人がこの高校に在籍していたことを残したいという私たちの思いを、形として残すことができた」とあいさつした。

 奥公輝(まさき)さん(当時16)の父・勝さん(50)は「雪崩事故が学校現場の人災という教訓を残すためにも、学校で開くのは意味があると思う」と話した。

 事故をめぐり、遺族側は県や3教諭に対して「真摯(しんし)な謝罪」を求めて民事調停を申し立てたが、3教諭が出席することはなく、調停は決裂した。5遺族は2月、県や3教諭を相手取り、損害賠償を求める民事訴訟を起こした。その直後、3教諭は業務上過失致死傷容疑で在宅起訴された。県教委によると、3人とも休職しているという。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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