目が不自由な人の職を守るため、国家資格「あん摩マッサージ指圧師」の養成施設を一般向けに開くのを規制できる――。そう規定する法律が職業選択の自由を保障した憲法に違反するかが問われた訴訟で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は7日、「合憲」とする初判断を示した。裁判官4人の全員一致の意見。
法律は「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律」。1964年の改正法は「国は当分の間、視覚障害者以外の人に向けた養成施設の開設を認めないことができる」とした。あん摩マッサージ指圧師に多く就く目の不自由な人の職域を守ることが改正の趣旨で、改正後、視覚障害がない一般向けの養成施設は開設されていない。
この日の判決は、あん摩マッサージ指圧師について、目の不自由な人が占める割合が50年間で6割から2割に減った状況をふまえても「相当程度の割合」とし、「障害が重くても就業機会を得られる主な職種」と指摘した。こうした就業機会を保障することは、「自立や社会経済活動への参加を促す積極的意義」があるとも認めた。
そのうえで、改正法の規制は「重要な公共利益のために必要かつ合理的」で、職業選択の自由を保障する憲法22条1項に違反しないと結論付け、医療専門学校を運営する大阪市の学校法人「平成医療学園」など原告の上告を退けた。
原告は、厚生労働省の「開設不許可」の処分取り消しを求めて2016年に東京、大阪、仙台の各地裁に提訴。各地高裁とも「合憲」と判断していた。
判決を受け、厚労省は「制度の適正な運用に努める」とした。
障害者団体「安堵」、無資格者の問題も
「視覚障害者の立場を十分に理解してくれた。規制が必要と明言していただき、安堵(あんど)している」。日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長は会見で、判決を評価した。
ただ、業界をめぐる問題はほかにもある。
近年、無資格で開業する例が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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