「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」で信者の教育を担当していた元幹部が、朝日新聞の取材に実名で応じた。教団内部には献金に悩む信者や2世信者がいたと振り返り、「教団が進めてきた献金・集金のやり方は社会的モラルに反するものだった」と述べた。教団幹部らの間では献金の「ノルマ」があったとも証言した。
取材に応じたのは、2017年まで教団の家庭教育局副局長を務めた桜井正上氏(48)。退会後は別団体で信仰を持ち続けている。教団に在籍した約20年間、各地の教会を回るなどして信者の相談にのってきたという。「信仰を求めてここに来たのに教会内では献金の話しか聞けない」「教会で家庭内の相談をすると、解決策として献金を要請される」などの悩みを聞いてきた。
また、副局長などを務めた16~17年ごろ、「教団本部は毎月20億円以上の献金を信者に求める目標を掲げていた」と証言した。
「ノルマ」を否定していた教団会長
桜井氏によると、幹部会議で示された資料には、毎月の献金目標額が記されていた。目標に対する進捗(しんちょく)率が記された文書が配られたこともあるという。達成すべき目標だったと桜井氏は受け止めていた。こうした資料は、会議後にすべて回収されたという。
教団への献金をめぐっては、田中富広会長が7月の会見で「(信者個人に)ノルマはない」「本人の意思で献金されている」と答えた。桜井氏も個人へのノルマは否定しつつ「教団本部が全国の教会に無理なノルマを課していたことは、内部の人間なら誰もが知る」とし、「『献金しなければならない』という空気を作り、信者に過度のプレッシャーを与えていた」と話す。その上で「これ以上、信徒が組織の犠牲になってほしくない」と訴えた。
教団は朝日新聞の取材に、桜井氏の主張について「分派に流れた元信者の証言には何らの信憑性(しんぴょうせい)も伴わない」と否定。献金については「国内の信徒に目標を達成させるためのノルマが課せられていたという事実はない」とした。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル