「説得」7時間、部屋着、素足のまま施設へ ひきこもり支援に司法は

 「引き出し屋」と呼ばれるひきこもりの支援ビジネスをめぐって1月下旬、注目の判決があった。ひきこもっている本人の同意なく部屋から連れ出し、施設に入所させた業者や、そうした業者と契約した親に対し、東京地裁不法行為責任を認めた。

 「蜘蛛(くも)の糸をつかむような思いで裁判にたどり着いた。一歩踏み出してよかった」。判決を受け、原告の30代女性がこれまでの苦しい日々を振り返った。

 始まりは2017年10月のことだった。

 千葉県の住宅街にある自宅。女性によるとその日、2階の自室のベッドでまどろんでいると突然、部屋のドアが開き、知らない男たちが入ってきてこう告げられたという。「私たちと一緒に来てもらいます」

 女性はその2年前からひきこもり状態で、男たちは同居の母が依頼した支援業者の職員だった。

 「将来のこととか考えているの」

 「働かないで親に悪いと思わないの」

 男らの説得は続き7時間後、女性は都内の施設へ向かう車に乗せられていた。「恐怖で全身の震えと涙が止まらない。声もでない状態だった」。女性は当時の状況をそう語った。

 男らは、ひきこもり支援施設「あけぼのばし自立研修センター」を運営していた「クリアアンサー」(東京都新宿区、19年に破産)の元従業員。業者は「支援のプロ」としてニュースやワイドショーでも繰り返し紹介されていた。

 半面、自宅から連れ出す際の…

この記事は有料会員記事です。残り1567文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment