赤ちゃんを出産した直後に殺害し、遺体をコインロッカーに捨てたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職小関彩乃被告(23)の裁判員裁判の初公判が31日、札幌地裁(井下田英樹裁判長)であった。小関被告は「(間違っているところは)ありません」と起訴内容を認めた。
起訴状によると、小関被告は昨年5月16日ごろ、札幌市内のホテルの部屋で男児を出産し、水を張った浴槽に沈めて窒息死させた。さらに同31日、クーラーボックスに入れた遺体をJR千歳駅のコインロッカーに遺棄したとされる。
検察側の冒頭陳述によると、小関被告は東北地方の実家を出て、関西や東北の性風俗店などで働いていた。2021年夏ごろに妊娠したが、家族や交際相手の男性には打ち明けなかった。昨年3月下旬ごろに交際相手が転勤する予定の札幌市へ来て、ネットカフェやホテルを転々としながら、出会い系サイトを通じて売春をしていたという。
出産が近いことを察して同5月15日に札幌市内のホテルを予約し、部屋の浴槽に湯を張って男児を水中出産した。検察側は「遺体の処置に困り、パイプ洗浄剤で溶かそうとしたり埋める場所を探したりした」と指摘した。
検察側が提出した証拠によると、小関被告のスマートフォンには「誰にも言わずに出産してしまった 相談」「死体 保管方法」などのキーワードで検索した履歴が残っていたという。
弁護側は、小関被告が交際相手との関係が崩れるのを恐れて妊娠したことを周囲に相談できなかったと主張した。
弁護側の依頼で小関被告の精神鑑定をした興野康也医師は証人尋問で、小関被告は知的障害ではないものの知的能力がやや低い「境界知能」であり、注意欠如・多動症(ADHD)の傾向もあると指摘。「善悪を判断する能力が低かったとは言えないが、それに基づいて自分の行動を制御する能力は低かったと言える」と証言した。(石垣明真)
この日の公判では、予期せぬ妊娠をした女性が病院だけに身元を明かして出産できる「内密出産」を国内で唯一導入している熊本市の慈恵病院の蓮田健院長(56)が、弁護側の証人に立った。
「孤立出産、耐えられるものではない」
「出産の痛みは手の指を切断…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル