新屋絵理
警視庁の警察官から親子で不当な聴取をされたなどとして、東京都内に住む南アジア出身の40代女性とその長女(3)が22日、都に440万円の慰謝料などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状によると、親子は今年6月、都内の公園で見知らぬ男性とトラブルになった。男性は自分の息子が女性の長女に蹴られたと訴え、「外人」「在留カード出せ」と叫んだという。駆けつけた警察官は公園で約1時間半ほど話を聴き、さらに署で親子から約3時間聴取した。長女を1人にした聴取も行われたという。
原告側は「任意の限界を超えた令状のない強制処分で、人身の自由を侵害した」と主張。警察官が女性の名前、住所、携帯番号を同意なく男性に伝えたとも指摘し、一連の行為の違法性を訴えている。
長女はその後、不眠や過呼吸に悩まされ、保育園でも男性職員を嫌がるようになったという。
弁護士「外国人への差別意識、根底に」
女性と弁護団は提訴後に会見し、弁護士は「外国人は治安を脅かす存在だという差別意識が根底にあるのではないか」と指摘した。女性は「個人情報が提供され、(今も)危険にさらされているように感じる。全ての外国人が人間として扱われてほしい」と話した。
警視庁は「訴状が届いていないためコメントできない」とした。(新屋絵理)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル