「警戒の空白」防げ 警察庁が組織、業務見直し指針 安倍氏銃撃1年

 安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件から1年になるのを前に、警察庁は、警察の組織と業務のあり方を総合的に見直す方針を決めた。業務運営に関する指針を策定し、3日に開いた全国警察本部長会議で露木康浩長官が都道府県警に取り組みを指示した。同庁が組織、業務全般の見直しを打ち出すのは初めて。

 奈良市で起きた安倍氏銃撃事件では、後方の警護体制が抜け落ちる「後方警戒の空白」が指摘された。警察庁はこの反省に立ち、安易な前例踏襲や部門の縦割りにより対策が遅れる事態は全ての分野で解消すべきだと判断。「警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針」と題し、対策の重点などを示した。

 体制を抜本的に強化すべき事項として、サイバー対処能力▽特殊詐欺の捜査連携▽要人警護▽ローンオフェンダー(組織に属さない単独の攻撃者)対策▽自転車や小型モビリティーの対策――などを列挙した。

 暴力団と違い、SNSを通じるなどして緩やかに結びつく集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と新たに規定。準暴力団を含むこうした集団は特殊詐欺などを行い、得た資金は風俗事業にも流れているなどとして、実態解明や取り締まりのための体制作りを求めた。

 特殊詐欺の捜査では、被害が出た地方の県警などから警視庁など他の都道府県警に捜査を委ねる「捜査嘱託」の体制強化などを図る。

 限られた人的資源の中で組織全体として力を発揮するため、業務の効率化・合理化を推進。警察署や交番、駐在所のあり方や地域警察活動、交通指導取り締まりや交通事故捜査のあり方などを見直していく。

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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