「赤ちゃん守るため他に方法あるか」 院長が訴える内密出産の必要性

 国内初の「内密出産」に踏み切った慈恵病院(熊本市)の蓮田健院長(55)が20日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。「赤ちゃんの無事のためには、かたくなに身元を明かしたくない女性に対して、匿名性を受け入れるほかにどんな方法があるのか」。赤ちゃんをめぐる事件や母子ともに危険が伴う孤立出産を防ぐため、内密出産の必要性を訴えた。

 国内の法律で内密出産に関する定めがない現状について、蓮田院長は「(制度的に)あまりに脆弱(ぜいじゃく)で、関係者が右往左往している」と指摘。法整備の必要性を改めて訴え、社会の関心や理解を広げていきたい考えを示した。

 病院では昨年12月、西日本の10代女性が出産し、病院の担当者にのみ身元を明かして退院。内密出産と赤ちゃんの特別養子縁組を望む女性の意向を踏まえ、熊本市と病院は、首長職権で戸籍をつくる手続きを進めている。

 蓮田院長はインタビューで、内密出産の目的は「赤ちゃんの無事な出生と保護」と強調した。2007年から病院が運営する、親が育てられない子を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)や、赤ちゃんの遺棄・殺人事件の被告らと関わった経験から、家族関係の問題や被虐待歴、精神・知的障害など厳しい事情が、孤立出産や赤ちゃんの遺棄・殺人事件の背景にあると説明。内密出産が必要と考えられるのは年間の事件件数などを基に、妊娠した女性のうち1万人に1人ほどの割合との見方を示した。

 「内密出産は親として無責任」などの批判については「突っ込みどころも多いだろう。だが、正論を吐けば(希望する女性と)連絡は途絶え、孤立出産や事件になる。女性が名乗れないのはなぜか理解してもらわないといけない。理解されなくても、赤ちゃんの無事の出生のためには他に方法がない」と話した。

 病院での管理を想定している…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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