「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」と心理学者のアルフレッド・アドラーは説いた。SNSが人と人のつながりを容易にした一方、一人ひとりが抱える孤独感は深まっている。複雑化する人間関係の中で、私たちは何を頼りに生きていけばいいのか。「孤立不安社会 つながりの格差、承認の追求、ぼっちの恐怖」などの著書がある石田光規・早大文学学術院教授(社会学)に聞いた。
「弱さをさらけ出す」はリスク
――「人づきあいは疲れる」という人が増えている気がします。
人間関係は時代とともに変遷してきました。かつては他者との率直な話し合いがしっかりとした個人のアイデンティティーを形成するとされました。しかし1990年代に入ると、親しい仲でも対立を回避したり、その場の空気を保つための対応に一生懸命になったりする関係性が生じてきたのです。
――なぜでしょう? うわべだけの関係な気がします。
自分の弱さをさらけ出すことが、今ある関係にマイナスのものを持ち込んでしまうと考え、いい部分だけを見せるように変わってきたのです。主義、主張をぶつけ合い、衝突することで関係性がより深まるという考え方は、特に若い世代にとっては両者の関係の存続を脅かすリスクでしかありません。
そうなってくると、誰かと一…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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