新屋絵理
東京・池袋で2019年4月、乗用車が暴走して母子が死亡するなどした事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に対する判決が2日午後、東京地裁で言い渡される。暴走の原因は車の不具合だったとして無罪を訴える飯塚被告の過失について、どう判断されるのかが注目される。
昨年10月に始まった公判の争点は、事故の原因がブレーキとアクセルの踏み間違いなのか、車の異常かだ。
飯塚被告は初公判で「車に異常が生じて暴走した」と無罪を主張。最終意見陳述で「被害者や遺族の気持ちを考えると心苦しい。しかし踏み間違えた記憶は全くない」と訴えた。
これに対し検察側は、事故後の検査で電気系統の不具合を示す痕跡は確認できず正常に機能していたことなどから、事故原因はペダルの踏み間違いだと指摘。飯塚被告が事故当時に運転したハイブリッド車「プリウス」を生産したトヨタ側も、公判や会見で「車両に異常や技術的な問題は認められなかった」と説明しており、検察側は法定刑の上限にあたる禁錮7年を求刑した。
事故では松永真菜さん(当時31)と長女の莉子ちゃん(同3)が亡くなり、9人が重軽傷を負った。
真菜さんの夫の拓也さん(35)は事故後、交通事故被害者の遺族らでつくる一般社団法人「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」に所属し、被害者側が裁判の傍聴時に会社を特別に休める制度の新設を政府に求める活動などをしてきた。
今年8月に更新した自身のブログでは、判決前に飯塚被告に伝えたいこととして、「一審の判決が出たら何も生み出さない無益な争い、やめませんか」と書き込んだ。「私にこの先何年も人を恨み続ける道を歩ませないで欲しい。2人の愛してくれた、私らしい私でいさせて欲しい」とも訴えた。(新屋絵理)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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