野田佑介
職場での過労死や過労自死の撲滅を目指すシンポジウムが17日、島根県江津市の市総合市民センターで開かれた。過労自死で息子を亡くした高木栄子さん(76)=同県出雲市=らが自らの体験を話し、過労死・過労自死のない社会の実現を呼びかけた。
11月の「過労死等防止啓発月間」に合わせて厚生労働省が主催。約150人が講演に耳を傾けた。
「山陰過労死等を考える家族の会」の代表を務める高木さんは2009年、出雲市内のスーパーでバイヤーとして働いていた長男・教生さん=当時36歳=を亡くした。講演では、失意の中で労災認定を求めて国と裁判で争い、提訴から4年余りを経て認定を勝ち取った経験を紹介。「息子ともう会えないのがとてもつらい。私たちのような思いをする人が、これ以上増えないためにも過労死のない社会になることを願っている」と涙ながらに訴えた。
また、1996年に飲食店の店長だった夫を過労自死で亡くした寺西笑子さん(73)=全国過労死を考える家族の会代表=も登壇し、「命より大切な仕事はない。健康で充実して働き続けられる社会にするために、ともに行動してほしい」と語った。
シンポジウムは18日午後1時半から、鳥取県米子市加茂町2丁目の国際ファミリープラザでも開催される。問い合わせは事業委託先のプロセスユニーク(0570・070・072)へ。(野田佑介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル