札幌市議会で6日、2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致の是非を問う住民投票条例案が否決された。共産党札幌市議団などが提案したが、自民、民主市民連合、公明が反対した。3月に札幌市が行った意向調査では、市民への郵送調査で賛成派が約52%、反対派が約38%だった。共産などは賛成派の比率が低いとして「住民投票ではっきりさせるべきだ」とし、自民などは「住民投票の対象にならない若年層の意見も聴いている」などとした。意向調査に問題点はなかったのか。国などによる世論調査に長年携わり、内閣府統計委員会の専門委員を務める土屋隆裕・横浜市立大学大学院データサイエンス研究科長(53)に聞いた。
――札幌市の意向調査をどう見ましたか。
「札幌市は郵送、街頭、ネットの3種の調査を同時に行ったが、市民の意向を代表しているのは郵送調査だろう。対象者は住民基本台帳から無作為抽出され、それ自体に問題はない。しかし調査期間は3月2~11日の10日間しかなかった。回収率約58%では、回収が十分だったとは言えない」
「一般に賛否を問う調査の場合、ポジティブな意見の人の方がネガティブな意見の人より調査に協力する可能性が高い。郵送調査で五輪招致への賛成派が約52%という結果だったが、答えなかった人の中にネガティブな意見が多い可能性もあることを考えると、この結果で『市民の過半数が賛成した』と判断するには、もっと慎重になるべきだ」
――調査内容についてはどうでしょうか。
「気になるのが調査票の設計…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル