井上潜
北海道富良野市を舞台に兄妹の成長と2人を見守る父親の姿を描いたTVドラマ「北の国から」の放送40周年を記念したトークショーが9日、市内の富良野演劇工場などであった。脚本家の倉本聰さんや蛍を演じた中嶋朋子さん、テーマソングを歌ったさだまさしさん、ふらの観光大使でお笑い芸人の蛍原徹さんらが、全国から集まった「北の国から」ファンの前でドラマへの思いを語り合った。
父親の黒板五郎を演じ、3月に亡くなった田中邦衛さんの追悼も兼ねたトークショー。応募が殺到したため、富良野文化会館も会場として演劇工場と中継でつなぎ、倉本さんは両会場を回ってファンと交流した。
トークショーでは、出演者がドラマの人気シーンや撮影の苦労話に花を咲かせた。倉本さんは「富良野に移住した時、ぽつんぽつんとある家のあかりが印象的で、そこに家族の暮らしがあるんだと思った。それで最初は『ともしび』というドラマ名を考えたが、地味だと言われた」と明かした。蛍原さんが、「87年初恋 泥のついた1万円札」で、吉岡秀隆さんが演じた純が東京行きを決意し、トラックに乗せてもらう場面で「5万回は泣いた」と言うと、さださんが「この場面でもさだの歌が流れる。いい場面なのに『さだ、うるさい』と思った」などと話し、会場の笑いを誘った。
中嶋さんは親子として共演した田中さんを思い出し、「邦さんはいつも五郎の格好のままで地元のお店に行き、手ぬぐいや帽子を忘れてきて、地元の人が『五郎さんの』と届けてくれることもあった」と気さくな人柄を懐かしんでいた。(井上潜)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル