米アウトドア用品メーカー「パタゴニア」日本支社が、パート社員らでつくる労働組合「パタゴニアユニオン」宛ての郵便物の取り次ぎを拒んでいる問題で、労組が14日、組合活動を侵害する不当労働行為だとして北海道労働委員会に救済措置をとるように申し立てた。取り次ぎ拒否が実質的な妨害にあたるかどうかが問われることになる。
労組によると、会社側は昨秋以降、札幌市の店舗で働く労組代表の女性(51)宛ての郵便物を、数回にわたり渡すのを拒んでいるという。これに対し会社側は、社外から脅迫や嫌がらせなどを受けないように「業務外の郵便物は取り次ぎしない」との社内ガイドラインがあり、「労組でも特別扱いはできない」と説明する。
申立書によると、労組代表宛ての郵便物は、労組が加盟する札幌地域労組から送られた定期大会や勉強会の案内などで、労組は「業務に重大な支障を生じさせ、会社に過大な負担をかけるものではない」と主張している。
労組宛ての郵便物をめぐっては、労組に渡すのを拒み転送や返送した東京都内の学校法人に対し、都労委が2016年に不当労働行為にあたると認定した例がある。都労委は「郵便物を直接労組に渡す義務は法人にない」との判断を示したうえで、「組合を嫌悪し、その弱体化を意図した」として救済命令を出した。
今回のケースでは、労組側は「環境団体などからの郵便物は届いている。労組の郵便物に、ことさら疑いをかけるのは組合嫌悪の表れ。組合活動の妨害にあたる」と主張。これに対し、会社側は「環境団体から受けとっているのは業務に関するもの。労組に嫌がらせや支配介入する意図は全くない」と反論している。
パタゴニアユニオンは昨年7月、札幌市内の店舗で働くパート社員らが結成。会社側が有期雇用の契約期間を「最大5年未満」と限定しているのは、無期雇用への転換を申し込める法律で定められた「無期転換ルール」の適用を逃れるためだとして、撤回を求めている。(編集委員・堀篭俊材)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment