「あの時は酔っていたので」「お酒の上でのことだから」など、日本ではアルコールが入った状態での言動については、大目に見られます。背景には、お酒は人を変えてしまうので、その上での言動を責めるのは酷だという価値観があるわけですが、この考え方を否定する研究成果がネットで話題となっています。
飲酒によって、道徳観に大きな変化見られず
英国の研究者が、被験者にVR(仮想現実)を使ってある光景を見せ、飲酒した状態と飲酒していない状態で道徳観がどう変化するのかについて調べたところ、実際の行動という面では、飲酒による大きな違いは見られなかったそうです。功利主義的な行動を取るのかどうかという、あくまで限定された条件下での実験ではありますが、飲酒によって道徳観が大きく変化することはないと結論付けることができるでしょう。
もっとも、飲酒した状態では、他人に対して共感したり、理解を示す能力が低下することが分かっていますから、普段よりも人が悪くなる可能性はありますが、お酒が入ると、根本的に人格が変わるというところまでは至らないようです。
もしこの話が本当だとすると、お酒を飲んだ上での言動について、周囲がどう判断すべきなのかという基準も変わってくる可能性があります。アルコールに過度に寛容ともいわれる日本の場合、検討すべき課題が多いかもしれません。
ビール持ち込みで逮捕も アルコールに非寛容な米国
アルコールに対する許容度は国によって異なりますが、米国はアルコールに対してもっとも非寛容な国のひとつといってよいでしょう(イスラム圏のようにアルコールそのものが禁止されている地域は除きます)。未成年者にアルコールを販売することに対する社会の目は厳しく、未成年者にとっては麻薬を購入する方がずっと簡単というのが現実です。ビーチや路上での飲酒も厳禁というところが多く、ハワイなどでは、ビールを持ち込んで逮捕される日本人観光客もいます。ビーチにあるお店でお酒を売っていない段階でアルコール禁止と気付きそうなものですが、習慣というのは恐ろしく、ホテルの部屋などから、わざわざ持ち込んでしまうようです。
多くの米国人は直接、口に出しては言いませんが、人前でベロベロに酔うなどの醜態をさらした人は、会社の中での評価が著しく下がることが多いといわれています。
アルコールが入った時の人格が本当の人格なのかはともかく、国際会議などでもアルコールを出さないケースが増えている現実を考えると、「お酒の上でのことだから」という常識はそろそろあらためた方がよいでしょう。
(The Capital Tribune Japan)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース