「野人」芸術家が残した手作りの白亜の城 放浪の末たどり着いた地で

 「野人」と呼ばれた芸術家がいた。

 中本誠司(せいし)は鹿児島県屋久島で生まれた。絵を売りながら世界を放浪し、たどり着いたのが仙台の地。空き地に張ったテントで寝起きし、仲間とコンクリートをこね、奇抜な外見のアトリエ兼住居をほぼ手作りで完成させた。1976年のことだ。

 仙台市青葉区東勝山の丘の上。住宅街をゆくと、スペイン風の白亜の城郭が、こつぜんと姿を現す。アントニオ・ガウディの作品かと一瞬、錯覚する。

 中本はここでたくさんの絵を描き、たくさんの酒をのんだ。

「ピカソより長生きすれば、世界が評価してくれるさ」

 支え続けたパートナーが、仙…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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