憲法に基づき立憲民主党などの野党が要求した臨時国会の招集をめぐり、ネット上で「野党が口頭で国会開催を要求してるだけで正当なプロセスを何も踏んでない」という情報が拡散している。結論からいえば、これは誤りだ。野党は憲法および国会法などに基づき、正当なプロセスで要求書を提出、内閣に送付されている。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。【BuzzFeed Japan/籏智 広太】
Twitterで拡散されているのは、10万以上のフォロワーを持つ黒瀬深氏のアカウントによる、8月5日の以下のような内容のツイートだ。 6000以上リツイートされ、1万7000以上いいねされるなど、大きく拡散している。 《#憲法53条違反だぞ安倍晋三というタグ、 憲法53条は「議員の4分の1が要求すれば国会は開かれる」という内容で、つまり今開かれてないのは「野党が口頭で国会開催を要求してるだけで正当なプロセスを何も踏んでないから」だぞ。要するに野党は口だけで何もやる気がないという事です。》 そもそも憲法53条とは、内閣の臨時国会の招集を定めた条文。衆議院か参議院、どちらかの総議員の4分の1以上の要求があれば、召集を「決定しなければならない」と定められている。 《内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。》 立憲民主党などの野党はこれに基づき、豪雨災害や新型コロナウイルス対応のために臨時国会の召集を要求した。しかし内閣側は招集に応じておらず、野党側は「憲法違反だ」と反発している。
正当なプロセスを踏んでいない?
拡散しているツイートはこうした動きを受けたものだが、先出の通り誤った情報がいくつか含まれている。 いったい、どこが間違えているのか。第一に、ツイートでは、野党は「口頭」で国会開催を要求しているとしているが、それは誤りだ。 立憲民主党は7月31日に、「臨時国会召集要求書」という書面(写真上)を衆議院議長に提出している。要求書は131人の議員名が連名で記されている。 第二に、ツイートでは、「正当なプロセスを踏んでいない」とも指摘されているが、これも誤りだ。衆議院事務局によると、このプロセスは国会法3条で定められている。その条文は以下の通りだ。 《第三条 臨時会の召集の決定を要求するには、いずれかの議院の総議員の四分の一以上の議員が連名で、議長を経由して内閣に要求書を提出しなければならない。》 また、国会運営関する過去の例をまとめた「衆議院先例集」では、この要求書を受け取った議長がどうすべきか、以下のように記載されているという。 《臨時会招集要求書は即日内閣に送付するのを例とする》 事務局によると、今回の要求書はこの双方の規則に則って野党から衆議院議長に提出され、即日内閣に送付された。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース