佐藤英法
広島県福山市の福山城にちなんだ「鉄板張りせんべい」(税込み780円)を地元の中学3年生、中島美晴(みはる)さん(14)が考えた。父親の基晴(もとはる)さん(54)が営む福山市内の物産会社などで11月から販売を始めた。
福山城は江戸時代初期の1622年に建てられた。天守の北側のみが黒っぽい鉄板張りという全国でも珍しい構造だった。この天守は太平洋戦争末期の1945年8月8日の福山空襲で焼失した。
現在の天守は戦後の66年に鉄骨鉄筋コンクリート造りで再建された。福山市は2022年の築城400年に向け、天守北側を往年の鉄板張りに復元する工事などを進めている。
美晴さんは中学2年のとき、総合学習の授業で「福山城築城400年記念事業」について発表した。「私自身がどういう形でかかわれるか、考えていこうと思う」とクラスメートの前で話した。
今年春ごろ、天守に張られていたとみられる鉄板が、保管していた市民から市に寄贈された。そのニュースを知った美晴さんは鉄の硬さから、せんべいを連想したという。市が天守の改修費の寄付を募っていたことから、「お城のためにせんべいを商品化して売り上げの一部を寄付しよう」と考えた。父の基晴さんにも相談した。
専門店と一緒に半年ほどかけて試作を重ね、落花生入りの小麦粉でつくった「鉄板張りせんべい」が完成した。縦約20センチ、横約10センチの2枚入りだ。地元産のノリを使って鉄板のように黒く仕上げている。
福山城は来年3月までに天守外観などの改修を終える予定だ。美晴さんは「鉄板張り工事のことを多くの人に知ってもらいたい。400個は売ります。おいしさは鉄板です」。
「ぬまくま夢工房」(084・922・4870)でインターネット通販もしている。(佐藤英法)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル